9月に入り、今年も残すところあと3分の1になりました。
酒蔵は、今年の日本酒造りの準備にさしかかる時期です。

四季醸造などを除けば、多くの酒蔵は10月前後からその年の酒造りを開始します。
一般的に、日本酒は酒米の状態から1つのタンクで搾り上がるまでに1ヶ月強ほどかかります。
そのため、新酒が搾り上がるのは、11月前後あたり。
多くの新酒が出始める頃までの秋の間は、「ひやおろし」がメインの販売となってきます。

この時期、製造計画(仕込み計画)も最終局面に入ってきます。

今年は、製造計画(仕込み計画)が非常に難しいシーズンです。

御存知の通り、コロナ禍による日本酒業界への打撃は深刻なものとなっています。
1年で「古酒」とされる日本酒にとっては、生産計画が非常に難しい情勢となっています。

先の見えない中、「とりあえず今年だけ酒米を買うのを減らせば良い」といった単純な話ではありません。

酒米を作ってくださる農家様にとっても、酒米の余剰は相場の変動を引き起こし、大きなダメージとなります。
そうなれば、来年以降の作付が無くなるなど、長期的な関係性も失われてしまいます。

下記の記事にあるように、酒米を作ってくださる農家様との関係が途絶えれば、日本酒そのものが危機に陥ります。

参考:「獺祭」旭酒造が消毒液を作り続ける理由 赤字なのになぜ?社長が明かした真意

つくづく、人間と自然の関係性を改めて思い知らされます。

緊急事態宣言等々で、人々の行動制限がなされても、母なる自然はつゆ知らず、四季の風景は移り変わり、各地の田んぼの稲穂は豊穣の実りをたたえています。

科学技術がどれほどまでに進もうとも、森を拓き、都市を築き、農耕文明を経て歩んできたわれわれ人間は、あくまでも自然の一部にすぎません。

同時に、人間の活動の如何によって、季節を彩る田園風景は、姿を見せなくなることも容易に想像できます。
(何をもってして「自然」と称すか。これは話が長くなりそうなテーマですね。)

人は、環境の一部であるとともに、環境を作り変える存在であるということ。
一人一人の日々の選択と行動が、環境を変えるということ。

日々の生活では、自身の選択と行動が何をもたらすか、なかなか見えづらいものです。
各人の消費が環境にもたらす例として、たとえばファストファッションが挙げられたりします。

参考:大量の水の使用、そして85%はゴミに…ファッション業界は環境へ大きな影響を与えている

当たり前のことですが、国の政策だけではすくいきれない多くの物事に、世界は満ちています。

SAKE RE100ブランドは、日本酒から環境へ働きかけることを目指していきます。
現在、SAKE RE100のロゴ、デザインを練り上げているところです。

出来上がった折には改めてご紹介したいと思います。

西堀酒造六代目蔵元:西堀哲也