先日2月7日、2021年度の日本産酒類の輸出統計が発表されました。

財務省貿易統計によれば、日本酒の輸出は12年連続で伸び続け、数量・金額ともに、前年の約1.5倍の増加率を遂げています。

急激な伸びがグラフからも読み取れます。

(国税庁資料より→詳細はこちら

輸出金額1位の中国を筆頭に、アジア圏の急激な伸びや、コロナ禍からの復活に先駆けた日本酒・和食の着実な広がりなど、様々な要因が考察されています。→参考記事

10年前と異なり、プレミアムな日本酒が多く出るようになっていったという分析がありますが、単価をよくよく見ると、むしろ今までが、大量生産型の廉価な日本酒が主であったことを意味します。

つまり、今までは大量生産で闘える酒蔵しか基本的に輸出のスタートに立てませんでしたが、ようやく、小規模酒蔵でも良い品質のお酒を出すことができる時代になってきました。(それまでは、小規模酒蔵にとっては到底価格が見合わなかったため輸出のメリットがなかったとも言えます)

さて、日本酒は世界からの注目も熱く、輸出好調。
果たして、日本酒業界は前途洋々なのでしょうか?

輸出に関して、明るいニュースが飛び交う反面、忘れてはならないのは国内の動向です。

こちらは、農水省が発表している直近のデータです。

(農水省資料より→日本酒をめぐる状況

日本酒の国内出荷量は、ピーク時(昭和48年)には170万㎘を超えていましたが、令和2年では42万㎘程度まで減少。
ついに、ピーク時の4分の1以下の量にまで落ち込んできています

4分の1の量になれば、4倍の単価で売れるわけもなく、日本酒は手間暇の割に安いという声もありつつも、結局は相場が大幅に変わらず推移しているのが現実です。

ちなみに、輸出の割合は日本酒の出荷量全体の約5%です。
つまり、95%のボリュームを占める国内市場の下げ幅が業界全体を覆っていることも忘れてはならない事実です。

日本酒のメーカー市場規模は4000〜5000億ともいわれますが、たとえば令和元年と令和2年の国内出荷量で単純比較した下げ率(10.3%減)で見れば、約400億円以上が1年で消え去っていると計算できます。
これは奇しくも直近令和3年度の日本酒輸出金額(401.78 億円)と同等です。

輸出は確かに好調な日本酒業界ですが、それを上回るペースで国内がダウンしている
このような危機意識と肌感覚は、酒蔵の人間をはじめ、皆持っていると感じています。

輸出は勿論とても大事で、取り組みを推し進めることはマストだと思います。

しかし、それだけではまだまだ不十分で、新たな取組みをどんどん進めなくてはならない

そんなことを、先日のニュースで改めて感じています。

西堀酒造六代目蔵元:西堀哲也