和食の代表、寿司。
寿司と日本酒は合わないわけがない。
しかし、寿司屋でビールばかりを飲む人が目立ちます。
実に、もったいない!

寿司には辛口の純米酒を合わせた方が良いのか、華かな香りのする大吟醸を合わせた方が良いのか、あるいは温度を変えて熱燗にした方が合うのか、ちょっとした日本酒選びのコツを知っておくと、寿司の楽しみ方が広がるかと思います。
そこで今回は、私が寿司屋でやっているシンプルな日本酒との合わせ方を紹介しようと思います。

【主張先の富山にて、厳選かがやき7セブン】

寿司と言っても、マグロやハマチといった生ものもあれば、穴子などの煮物、炙って提供する焼き物があり、寿司ネタと調理法の組み合わせを考えると、実に多くの種類があります。

寿司に多くの種類があるということは、多くの日本酒との合わせ方があるのも事実です。

例えば、こんな感じ。

マグロの赤身とトロやサーモンとは合わせ方が異なり、赤身系は、魚本来の素材を引き立てるために純米酒の辛口で、トロなど脂身の多い寿司には、生酛系の純米酒が良い。
そして、タイ等の白身魚を塩で食すような場合は、華やかな香りの大吟醸系が合う。
また、煮穴子には、甘口の純米酒が良く、季節によって熱燗で楽しんでも良い。・・・・

これって、面倒くさくないですか?
寿司と日本酒のアルゴリズム的(ロゴス的)な合わせ方はいくらでもあるのです。

私がやっている合わせ方は、もっと自然、直観的(ピュシス的)です。
魚の調理法だけを見て、日本酒の種類を変えています。

魚は、赤味系か白身系か、甲殻類系か、イカなど様々な種類がありますが、まず、刺身や生の握りは、純米酒の辛口を選びます。
刺身や生の握りは、素材そのものを味わうのだから、素材の味を邪魔しないキレを備えた日本酒が良いのです。
一方で、魚の煮付けや、煮穴子は、キレよりもコクのある純米酒で濃醇さを感じるものをお勧めします。

さて、ここまでは、唎酒師であれば誰もが知っていることですが、寿司屋で食べる蟹やイカの甲殻類は、酢の物として出されたときもあります。
この場合は、華やかな香りを含む吟醸系の日本酒が良いかと思います。
焼きモノとして提供されるような場合は、純米酒の熱燗です。

・生は純米辛口系
・煮は純米濃醇系
・酢の物系は大吟醸系
・焼きは熱燗

たったこれだけを知っておくことをお勧めします。

カウンターに座り、寿司屋の大将にお任せると、大吟醸から始まり、純米酒の辛口、純米酒の濃醇タイプという流れになるのが一般的ですが、合わせ方を知っておくと、寿司の楽しみ方が広がるものです。

私も回転寿司は大好きで良く行きますが、たまには、カウンターに座って、風情のある寿司を日本酒とともに味わってみてはいかがでしょうか。
「日本人で良かったなあ~」と感じると思います。

唎酒師:柏崎和久